「労働」をめぐる問題は、最も関心が集まる社会問題の一つと言える。フリーターやニートについての言説をはじめ、最近成立した「働き方改革関連法案」に至るまで、労働に関するトピックはかつてより枚挙に暇がない。
一方で労働以外の時間である余暇に楽しむものとして挙げられるものに「趣味」がある。今回の特集では「労働」と「趣味」が、現代の我々の生活でどのように連関しているかを考えたい。
まず、労働と趣味は対照的なものだという見方がある。日々退屈な、そしてしばしば辛い労働をこなし、終業後や休日に趣味を楽しむというように。すなわち趣味は日常生活における、しばしの癒しの時間である。
一方で「趣味を仕事に」というフレーズも、我々はずっと聞き続けている。子どもに夢(“何になりたい”か?)を聞くとき、それは「何の仕事に就きたいか?」「何の職業に就きたいか?」を意味している。
この2つの見方のうち一般的にイメージされやすいのは、おそらく前者だろう。だが、労働は趣味にとって、また趣味は労働にとって、どういう位置づけにあるのかは、個人にとってさまざまだ。そこでは、労働と趣味はいかなる形で、我々の生に関与しているのかが問題となる。
他方「趣味を仕事に」できた(夢が叶った)人の中には、趣味と仕事が重なったことによって、うまくいかなくなってしまったり、仕事として趣味に関わることを辞めてしまう人――私のように――もいるだろう。そこまでいかなくとも、趣味を労働にすることによって、趣味が変容することは少なくないように思われる。また、いわゆる「やりがい搾取」をめぐる問題も、ここに関わってくるだろう。
上に挙げたような労働と趣味に対する考え方や実践は、どのような関係で社会に存在しているのか。そして冒頭でも述べたように、現代において労働をめぐる状況が目まぐるしく変化する――それは時に我々の生活を脅かしかねない――中で、趣味とはいかなる意味を持つのか、そしてそれは労働を、ひいては人生を変容させ得るのか、という問題意識から、「労働と趣味」について多角的に検討を行いたいと考えている。
■原稿募集要項
・内容:「労働と趣味」というテーマに関する評論、エッセイ、コラムなど
・字数:3000~15000字程度(15000字以上は相談に応じます)
・締切(初稿):2018/12/23(日)(延長については相談に応じます)
・原稿データ形式:テキストファイル(実際の編集作業は、Googleドキュメントにて行う予定)
・寄稿者には掲載誌2部を進呈
・初頒布(予定):コミティア127(2019/2/17)
・その他、上記特集外のテーマについても、原稿を募集します。個別にご相談ください。
・応募・問い合わせ先:kei.furuto★gmail.com(★=@)、または古戸圭一朗のTwitter(ID:kei_furuto)のDMまで
※ご応募の際は、応募時点でお考えの原稿の構想、文字量などをお教えください。
※編者の処理能力などの事情により、予告なく受付を締め切る場合がございます。ご了承ください。
『余白域』編集・発行人
古戸圭一朗
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